京都大学 大学院工学研究科 電気工学専攻 生体医工学講座 生体機能工学研究室

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研究紹介

非侵襲高次脳機能計測とイメージング

脳の働きを理解するには、神経科学、物理、化学、情報科学、認知科学等の広汎な知識に加え、計測技術、画像技術、信号処理技術といった工学的な手法の理解と開発が必要とされる。中でも人間の脳機能研究では、脳を傷つけずに調べる非侵襲的な計測手法が不可欠である。

本研究室では本学医学研究科などとの連携により、1.5T並びに3.0Tの磁気共鳴画像(MRI)装置、306チャネルの脳磁界(MEG)計測装置、さらに高分解能脳波計測装置などを用いた非侵襲計測とイメージングを行っている。

機能的磁気共鳴画像法(fMRI)  脳の神経活動に伴い細動脈の弛緩が起き、その活動部位の血管中の血流量の増加によって血液中の脱酸素化ヘモグロビン濃度が減少することになり、水素の原子核であるプロトンの横緩和時間が長くなり、磁気共鳴信号の強度が増す。この信号はBOLD (blood oxygenation level dependent)信号と呼ばれ、BOLD信号を画像化することにより脳機能を計測する技術がfMRIである。fMRIにはBOLD以外に、局所血流量変化そのものをイメージングする方法など、他の試みもあるが、現時点ではfMRIのほとんどがBOLD信号に基づくものである.

脳磁界(MEG)計測法  脳神経の活動、具体的には大脳皮質にある錐体細胞の樹状突起に電流が流れることに伴って地磁気に比べ約一億分の一と極めて微弱な磁界が発生する。1960年代にジョセフソン接合を含む超伝導リング内での量子干渉効果を利用した超高感度な磁界検出器であるSQUID が発明された事によって初めてその計測が可能となった。SQUIDを用いて計測される脳磁界は脳磁図(MEG)と呼ばれ計測された頭皮近傍の磁界分布から、逆問題解析により脳内の神経活動部位を高精度で推定する事ができる。

本研究テーマに関連する著書と最近の解説

  • Tetsuo Kobayashi, Isamu Ozaki and Ken Nagata (eds.):
    "Brain topography and multimodal imaging", (Kyoto Univ. Press, 2009)
  • 小林哲生、他: ”神経医工学-脳神経科学・工学・情報科学の融合”、オーム社 (2009)
  • 小林哲生:”fMRI-MEG統合解析と原子磁気センサ型MRI-MEG融合システム~高次脳機能の解明と画像診断の新たなツール~”,高次脳機能研究、新興医学出版社、Vol.30, No.3, pp.378-386 (2010)
  • 小林哲生:”機能的MRIの基礎とその応用”,ヒューマンインタフェース学会誌、Vol.11, No.1, pp.39-44 (2009)
  • 古谷、小林、荒木、”計測制御技術の生体医療応用”、計測と制御、Vol.43, No.3, pp.214-219 (2004)
  • 小林哲生:”脳の機能を探る先端イメージング技術”、京都大学工学部公開講座テキスト「健康を支援する工学」、pp.23-32 (2006)