脳の謎を探り医療や福祉に貢献する先端の科学と工学
本研究室は、生体の有する優れた機能を探るとともに得られた知見に基づき医療・健康・福祉に寄与する電気工学分野の先端的研究と人材育成という社会と時代の要請によって平成15年度(2003年度)に新設された。小林哲生教授の退職に伴い、令和4年度(2022年度)より「生体機能工学研究室」として始動した。本研究室では医工連携研究により、医療や福祉に工学という側面から貢献する研究を目指し、生体の有する優れた機能を先端の電気電子工学技術を用いた計測手法によって調べ、その知見を応用する工学研究を行っている。中でも、人間の脳神経系に重点を置き、非侵襲的にその機能と形態を計測・解析・イメージングし、脳が実現している高度な情報処理の仕組みを探ると共に、その工学的応用に関して、感覚・運動機能、記憶、認知、意識などの問題を主要テーマとして研究を行っている。
具体的には、機能的磁気共鳴画像(fMRI)、脳磁界(MEG)、脳波(EEG) といった非侵襲計測を中心に、反応時間や眼球運動といった行動学的心理物理量の計測、さらには計算論的・理論的アプローチと合わせて総合的に脳機能の研究を行う。これと並行して、統合的計測手法や新たな逆問題解析手法の開発を行う。 また、超高感度な磁気センサである光ポンピング磁気センサ(OPM)について研究し、冷却が不要なMEGシステムや、MEGと超低磁場MRIの同時計測可能であるマルチモダリティな計測システムの開発を行っている。 加えて、低磁場でも計測可能な、神経磁場を捉える新たなfMRIの開発にも取り組んでいる。