京都大学 大学院工学研究科 電気工学専攻 生体医工学講座 生体機能工学研究室

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研究紹介

視覚的認知・意識の脳内機構に関する実験的研究

多様な視覚情報の中から意味のある情報に気づくあるいは分かるという視覚的アウェアネス(visual awareness)の脳内プロセスが、近年の認知脳科学の重要なテーマとして注目を集めており、その機構の解明は脳科学の進展に寄与することはもとより、生体医工学や情報科学等の様々な応用分野にとっても有用な知見を提供するものと期待される。この視覚的アウェアネスを研究するのに適した心理現象の一つに、多安定知覚(multistable perceptions)と呼ばれるものがある。多安定知覚においては、物理的には視覚刺激が変化しないにも拘わらず、観察者には二つないし三つの異なる知覚が交互に繰り返し生ずる。このことは、見えるあるいは気づくということ、すなわち視覚的アウェアネスや意識がどの様な脳の仕組みなのかを実験的に調べるのにとても分かり易い客観的な事象を提供している。本研究室では多安定知覚現象である、両眼視野闘争や運動性多義図形観察時の脳内機構を非侵襲脳機能イメージング手法や眼球運動計測、モデリング等によりを実験的に研究している。

本研究テーマに関連する最近の解説

  • 小林哲生:”両眼視野闘争”,Clinical neuroscience、中外医学社、Vol.28, No.10, pp.1161- 1163 (2010)
  • 小林哲生:”fMRI-MEG統合解析と原子磁気センサ型MRI-MEG融合システム~高次脳機能の解明と画像診断の新たなツール~”,高次脳機能研究、新興医学出版社、Vol.30, No.3, pp.378-386 (2010)
  • 小林哲生: "両眼視野闘争:その謎解きから意識を探る"、認知神経科学、Vol.7, No.1, pp.44-49 (2005)